手術時に入れる眼内レンズによって、見える範囲に違いがでます。
眼内レンズには、単焦点と多焦点の大きく分けて2つの眼内レンズがあります。それぞれの違いや見え方、特徴を簡単に説明します。
多焦点眼内レンズ、単焦点眼内レンズ、ともに乱視を軽減するレンズもありますが、完全に乱視をゼロにはできません。
手術後に残った乱視が強い場合は、眼鏡を使用したほうがよりよく見える場合があります。
単焦点眼内レンズ
特徴
焦点の合う距離が１ヶ所のため、遠くにピントを合わせた手術をすると近くが、また近くにピントを合わせると遠くが見えなくなります。
ピントが合わない距離を見るためには眼鏡で補正することになります。
- ピントが合う距離が一つ
- 手元から遠くまでのある1点がよく見える
- ピントが合う1点はとてもよく見える
メリット
- 焦点を合わせた距離ははっきり見える
- 夜間の光の眩しさやにじみが出ない
- 健康保険で手術が受けられる
デメリット
- 遠くに焦点をあわせた場合は老眼鏡が、近くに焦点を合わせた場合は遠く用のメガネが必要になる。
多焦点眼内レンズ
特徴
手元から遠くまでおおむねピントが合うので、眼鏡に依存する頻度を減らすことができます。ただし、眼鏡をかけた方が楽に見える距離もあります。光の性質（屈折や回折）を利用して、遠くと近くに2か所に焦点が合うように設計されています。
「白内障の手術後にはねるべく老眼鏡を使いたくない」という方におすすめしており、 遠くも近くも、ある程度眼鏡なしで生活できるようになります。
近くの見え方の目安として、30～40cmの距離で新聞程度の大きさの文字が読めるようになります。
最近は、中間距離（70〜100cm）に合わせられるレンズも増えてきましたが、手元がやや見づらくなるため、眼鏡が必要となることがあります。
- ピントが合う距離が複数
- 手元から遠くまで見える
- ピントが少しあまい
メリット
- 遠くも近くもある程度メガネなしで生活できます。
デメリット
- 夜間や暗い場所で、街頭やクルマのライトなどがにじんだり眩しく感じる（通常は日常生活に影響しない程度）
- 薄暗い場所では、文字などが見えにくい場合がある
- 視力の安定まで3-6ヶ月かかる場合がある（個人差があります。安定するのに3ヶ月かからない方もいます）
- 健康保険の適用外なので自費になる
トーリック眼内レンズ（乱視矯正用眼内レンズ）
トーリック眼内レンズは、白内障手術と同時に乱視を矯正します。
主に角膜乱視を矯正し、術後の乱視の軽減をします。
保険適用で手術を受けることができますが、すべての乱視のある方が対象となるわけではございません。
適応のある方は、診察の際、医師からご案内しております。
トーリック眼内レンズは、単焦点も多焦点も用意しています。
モノビジョン
当院では多くの患者さまにモノビジョン（単眼視）になるような眼内レンズの設定をお勧めしています。
